遮熱塗料は効果なし?失敗しない選び方と施工のポイント
遮熱塗料には、日射による輻射熱を反射する効果があります。輻射熱とは、遠赤外線などの熱線によって伝わる熱のことで、電磁波として伝播するため、物体の内部まで浸透する特徴があります。
輻射熱は人体だけでなく、建物の屋根や外壁にも影響を与えます。遮熱塗料を屋根や外壁に塗布することで、建材の劣化防止などの効果が期待できます。しかし、インターネット上では「期待していたような効果が得られなかった」という声もよく見られます。
これから遮熱塗料の施工を検討されている方の中には「本当に効果がないのだろうか」と不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。この記事では、遮熱塗料が効果的でないと言われる理由と、その効果を高める方法について詳しく解説していきます。
目次
遮熱塗料に効果がないと言われる理由
遮熱塗料を使用された方々の口コミを見ると、「施工したにもかかわらず、効果を実感できなかった」という声が少なからず見受けられます。ここでは、遮熱塗料が「効果がない」と言われる主な理由について、具体的に説明いたします。
- 遮熱効果が十分でない
- 塗膜表面の汚れにより、本来の効果が発揮されにくい
- 断熱効果が期待できない
- 塗りムラが発生しやすい
- 耐用年数が比較的短い
遮熱効果が十分でない
遮熱塗料の輻射熱反射率は60~80%程度とされています。輻射熱反射率とは、輻射熱をはね返す能力を数値化したものです。この反射率では十分な遮熱効果が得られないため、遮熱塗料の単独使用では期待通りの効果が得られにくいと考えられています。
そのため、遮熱塗料を施工する際は、輻射熱を94~99%反射する遮熱シートや断熱材と組み合わせて使用されることが一般的です。より高い遮熱効果を求める場合は、このような他の遮熱材や断熱材との併用を検討することをお勧めします。
塗膜表面の汚れにより、本来の効果が発揮されにくい
遮熱塗料は屋根や外壁に施工するものですが、これらの場所は雨風の影響で汚れが付着しやすい環境にさらされています。塗膜(塗装の膜のこと)の表面が汚れると、輻射熱を十分に反射できなくなり、遮熱効果が低下してしまいます。そのため、遮熱性能を維持するためには、定期的な清掃などのメンテナンスが欠かせません。
断熱効果が期待できない
遮熱塗料には断熱効果がありません。断熱とは熱の伝わりを抑制することを指します。遮熱塗料は輻射熱を反射する一方、断熱対策は湯たんぽのような伝導熱やエアコンが生み出す対流熱を防ぐ効果があります。
ここで、伝導熱と対流熱について正しく理解するために、「3つの熱移動」について説明します。建物内における熱の伝わり方には3種類あり、その割合は以下の通りです:
・伝導熱:5% ・対流熱:20% ・輻射熱:75%
断熱材は伝導熱と対流熱を抑制できますが、輻射熱を防ぐためには遮熱対策が必要となります。建物内の熱移動の大部分は輻射熱によるものであるため、夏場の暑さ対策には遮熱対策が不可欠です。
ただし、遮熱対策だけでは対流熱や伝導熱を防ぐことができません。すべての熱移動に対処するためには、遮熱塗料と断熱対策を組み合わせて実施することをお勧めします。
断熱について、より詳しい情報は「断熱とは?断熱と遮熱の違い、断熱対策のメリット、具体的な対策について紹介」をご参照ください。
塗りムラが発生しやすい
遮熱塗料は施工時に塗りムラが発生しやすい特徴があります。この塗料は均一に塗布して初めて十分な効果を発揮するため、塗りムラがあると期待通りの性能が得られません。
また、塗料の種類によっては高度な技術が必要となり、経験の浅い職人では塗りムラが生じやすくなります。
そのため、遮熱塗料の施工を依頼する際は、専門知識と確かな技術力を持つ職人が在籍している業者を選ぶことが重要です。
耐用年数が比較的短い
「最近、遮熱効果が弱くなってきたような気がする」
このような感覚をお持ちの場合、遮熱塗料の耐用年数が経過している可能性があります。遮熱塗料は種類によって耐用年数が異なり、主な種類と耐用年数は以下の通りです:
- アクリル系:6年
- ウレタン系:8年~10年
- シリコン系:10年~15年
- フッ素系:15年~20年以上
遮熱効果が低下したと感じられる場合は、使用している塗料の種類と施工時期を確認することをお勧めします。
遮熱塗料の性能を高める4つのポイント
遮熱塗料には多くのメリットがありますが、耐用年数が限られているなど、いくつかの課題もあります。こうしたデメリットを適切に補い、遮熱効果を最大限に引き出すための対策をご紹介します:
- 適切な時期での塗り替え実施
- 断熱材との効果的な併用
- JIS規格で高評価を得ている遮熱塗料の選択
- 親水性の高い塗料の使用
適切な時期での塗り替え実施
画像引用:遮熱塗料に効果がないといわれる理由は?施工するメリットや費用の目安を解説(WKカバー)
遮熱塗料は一度の施工で永続的な効果が得られるわけではありません。遮熱効果を長期的に維持するためには、塗料の種類に応じた適切なタイミングでの塗り替えが不可欠です。
たとえばアクリル系塗料の場合、耐用年数は6年程度ですので、5~6年ごとの塗り替えが推奨されます。塗料の種類によって耐用年数は異なりますが、効果を持続させるためには、その耐用年数を考慮した計画的なメンテナンスが重要となります。
断熱材との効果的な併用
遮熱塗料の効果を高めるには、断熱材との組み合わせが効果的です。断熱材は内部に多くの空気層を含む素材で、その空気層が多いほど熱の伝わりを効果的に抑制することができます。
ただし、断熱材には日射による輻射熱を吸収してしまう特性があるため、輻射熱対策としては十分な効果が得られません。そこで重要となるのが、遮熱塗料との併用です。
断熱材で伝導熱と対流熱を抑え、遮熱塗料で輻射熱を反射することで、3つの熱移動をすべてカバーし、建物内の温度上昇を効果的に防ぐことができます。
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JIS規格で高評価を得ている遮熱塗料の選択
遮熱塗料の選択において、JIS規格(日本産業規格:Japanese Industrial Standards)は重要な判断基準となります。日本塗料工業会が定めたこの規格では、遮熱塗料の性能を反射率、断熱性、放射性などの観点から評価し、星1〜3つでランク付けしています。この基準により、各製品の性能を客観的に比較することが可能です。
ただし、このJIS規格は2018年に制定された比較的新しい制度であるため、現時点での登録製品数は限られています。すべての遮熱塗料がこの規格による評価を受けているわけではないため、製品選びの際の参考情報の一つとして活用することをお勧めします。
親水性の高い塗料の使用
遮熱塗料を選ぶ際は、親水性の高い製品を選択することをお勧めします。親水性とは水となじみやすい性質のことで、この特性を持つ塗料には大きな利点があります。
親水性の高い塗料を使用すると、雨が降った際に雨水が塗膜表面の汚れを自然に洗い流してくれます。これにより、塗膜の汚れが付着しにくくなり、遮熱効果を長期間維持することができます。
遮熱シート:遮熱塗料の代替策として注目される新たな選択肢
遮熱塗料の課題を解決する方法として、近年注目を集めているのが遮熱シートです。金属製アルミシートを使用したこの製品は、遮熱塗料と同様に輻射熱を反射する効果がありますが、より高い性能を発揮することが期待できます。
遮熱シートの主な利点は以下の通りです。
- 施工時の塗りムラが発生しない
- 輻射熱の反射率が高い
- 雨漏り防止効果がある
施工時の塗りムラが発生しない
塗料による施工では、職人の技量によって塗りムラが生じやすく、特に屋根の形状によっては塗料が流れてしまうリスクがあります。一方、遮熱シートは屋根や壁に直接貼り付ける工法のため、塗りムラの心配がありません。そのため、施工する職人の技量に関係なく、均一な効果を得ることができます。
弊社では、輻射熱の反射性能に優れた「サーモバリア スカイ工法」による遮熱シート施工をご提供しています。このスカイ工法は、アルミ箔を使用したスカイシートを直接取り付ける工法です。施工者の技量や天候の影響を受けにくいため、常に安定した遮熱効果を実現できます。
輻射熱の反射率が高い
遮熱塗料の輻射熱反射率は60~80%程度であるのに対し、遮熱シートは94~99%という高い反射率を実現します。この数値の違いは、実際の遮熱効果にも大きな差となって表れます。
遮熱シートの性能はアルミ純度と密接な関係があり、純度が高いほど優れた遮熱効果を発揮します。弊社の遮熱シート「サーモバリア」は、アルミ純度99%を誇り、97%という高い輻射熱反射率を実現しています。
さらに、サーモバリアは放射率が低いという特徴も備えており、物体からの熱放出を抑制する効果があります。屋根、外壁、内壁などへの施工により、冷暖房効率が向上し、省エネルギー効果も期待できます。
関連記事:サーモバリアとは
雨漏り防止効果がある
遮熱シートを屋根に施工することで、遮熱効果だけでなく、屋根材の保護効果も得られます。具体的には、雨水の侵入を防ぎ、雨漏りを防止する効果があります。さらに、雨水による損傷や紫外線、気候変化による劣化からも屋根材を守ります。
また、遮熱シートには雨音を軽減する効果もあります。弊社のお客様からは「雨漏りが解消されただけでなく、雨音も大幅に軽減された」という声をいただいております。
まとめ
遮熱塗料は輻射熱を反射する効果的な対策ですが、より高い効果を得るためには以下の点に注意が必要です:
- 定期的な塗り替えによる性能維持
- 断熱材との併用による総合的な温度対策
- JIS規格を参考にした製品選び
- 親水性の高い製品の選択による維持管理の軽減
また、遮熱塗料の代替策として遮熱シートも注目されています。弊社の遮熱シート「サーモバリア」、また特許工法である「サーモバリア スカイ工法」には以下のような利点があります。
- 塗りムラのない均一な施工が可能
- 94~99%という高い輻射熱反射率
- 防水効果や騒音軽減などの付加価値
遮熱対策を検討する際は、建物の状況や予算、メンテナンス面などを総合的に考慮し、遮熱塗料と遮熱シートのそれぞれの特徴を踏まえた上で、最適な選択をすることが重要です。
編集部
自宅や工場の熱問題に取り組む、株式会社ライフテックの編集部が執筆・監修を行いました。
当社は、断熱材だけでは防げない輻射熱を97%カットすることができる遮熱材「サーモバリア」を販売しております。サーモバリアは、住宅や工場などの屋根や壁に使用することで、夏の太陽の輻射熱による建物の温度上昇を抑え、体感温度を下げることができる、自宅や工場の熱問題の解消につながる製品です。
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