遮熱塗料とは?断熱塗料との違い、メリット・デメリットについて紹介
遮熱塗料とは、輻射熱を反射する作用をもつ遮熱材の一種です。輻射熱は、遠赤外線によって伝わる熱のことで、主に太陽や電気ストーブから放射されます。輻射熱は人体の体感温度を上げる作用があるため、夏の暑さ対策として輻射熱対策は欠かせません。
遮熱塗料を建物の屋根や壁に施工することで、輻射熱を反射する効果によって、一年中快適に過ごせる住環境を構築できます。遮熱塗料には、夏の暑さ対策や省エネ効果が期待できるといったメリットがありますが、その一方でデメリットもあります。後悔しないためにも、遮熱塗料の施工をする前にはデメリットも把握しておくことが大切です。
この記事では、遮熱塗料の意味を詳しく紹介した上で、混同されやすい断熱塗料との違い、耐用年数やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次
遮熱塗料の基礎知識:意味、種類、耐用年数について
家の屋根や壁への遮熱塗料の施工を検討されている方の中には、「遮熱塗料とは、どんな塗料のこと?」「遮熱塗料に種類はあるの?種類があるなら、どの塗料を選べばいいのだろう」といった疑問を抱えている方もいるでしょう。
これから遮熱塗料を屋根や壁に施工される方向けに、遮熱塗料の意味、断熱塗料との違い、種類別の耐用年数について紹介します。
- 遮熱塗料について
- 断熱塗料との違い
- 遮熱塗料の耐用年数
遮熱塗料について
遮熱塗料とは、日射による輻射熱を反射する作用をもった塗料のことです。正式名称は「高日射反射率塗料」であり、2011年には日本塗料工業会によって工業規格(JIS K5675)に定められました。
遮熱塗料は、太陽光の中でも近赤外線を反射する作用が高い性質を持っています。近赤外線とは電磁波の一種であり、生物が暖かさを感じる光のことです。遮熱塗料を屋根や外壁に塗布することで、近赤外線を反射し、建物に熱がこもるのを防ぎます。
関連記事:遮熱塗料の効果がないってほんと?効果がわかりにくい原因と塗料に代わるおすすめの遮熱材を紹介
断熱塗料との違い
画像引用:屋根・外壁を断熱塗料で塗装したときの効果、遮熱塗料との違いは?(街の外壁塗装やさん)
断熱塗料とは、熱の伝わりを遅らせる塗料です。遮熱塗料と断熱塗料は、仕組みや効果に違いがあります。
それぞれの主な違いは以下のとおりです:
- 断熱塗料:室外・室内からの熱移動を抑制する・保温効果がある
- 遮熱塗料:日射や電気ストーブから伝わる輻射熱を反射する
遮熱塗料は、日射や電気ストーブから発生する輻射熱を跳ね返す作用があります。一方、断熱塗料は熱を反射するのではなく、あくまで「熱の移動を緩やかにする」ものです。断熱塗料には保温効果がありますが、遮熱塗料にその効果はありません。
それぞれに性質や仕組みの違いがあるので、建物へ施工する際には、目的に合わせて適したものを選びましょう。
遮熱塗料の耐用年数
遮熱塗料は、種類によって耐用年数が異なるので注意しましょう。種類別の耐用年数は、以下のとおりです:
- アクリル系:6年
- ウレタン系:8年~10年
- シリコン系:10年~15年
- フッ素系:15年~20年以上
遮熱塗料には、アクリルやウレタンなどの合成樹脂が含まれており、塗料に使用される主成分によって耐用年数が異なります。「塗り直しの回数を減らしたい」という場合であれば、耐用年数の長いシリコン系やフッ素系の塗料を選びましょう。
関連記事:遮熱塗料の効果がないってほんと?効果がわかりにくい原因と塗料に代わるおすすめの遮熱材を紹介
遮熱塗料を施工するメリット
遮熱塗料を建物の屋根や壁へ施工すると、さまざまなメリットを得られます。ここでは、遮熱塗料を建物へ施工するメリットについて具体的に紹介します。
- 室内温度を快適に保てる
- 熱による建物の劣化を防ぐ
- 省エネ効果が見込める
室内温度を快適に保てる
日射の影響を受けやすい夏場は、建物の屋根や壁から伝わる輻射熱の影響によって、室内温度が高くなります。室温上昇を抑えるには、輻射熱の影響を受けにくくするための対策が必要です。
夏の輻射熱対策には、遮熱塗料を建物の屋根や壁に施工する方法がおすすめです。遮熱塗料には日射による輻射熱を反射する作用があるので、建物へ施工することで壁や屋根から伝わる熱の侵入を抑えます。遮熱塗料は、冬の寒さ対策にも効果的です。遮熱塗料を屋根や壁へ施工することにより、熱を室内側へ反射させる作用により、寒い時期も暖かく過ごせます。
熱による建物の劣化を防ぐ
外壁や屋根などの建材は、外から伝わる熱の影響でひび割れや変色などが起こることがあります。遮熱塗料には輻射熱を反射し、表面温度の上昇を抑える働きがあるので、屋根や壁へ施工することで熱によるダメージを軽減できます。屋根や外壁の劣化が緩和されるようになるので、メンテナンスコストも削減できます。
省エネ効果が見込める
環境省では、エアコン設定温度を1℃緩和した場合の消費電力量として「冷房時約13%、暖房時約10%削減する効果が見込める」と発表しています。電気代を抑えるには、冷暖房の効きをよくするために遮熱塗料を建物の屋根や壁へ施工するのもひとつの方法です。
屋根や壁へ遮熱塗料を施工することで、室内の温度上昇を抑える働きによって、夏場の冷房負荷を軽減できます。さらに冬場は、電気ストーブの熱を室内側へ反射させる働きによって、暖房の効きも良くなります。遮熱塗料の施工によって、室内の空調効率がアップし、省エネ効果が期待できます。
参考記事:エアコンの使い方について(環境省)
遮熱塗料のデメリット
遮熱塗料は種類によって、遮熱性能に違いがあるといったデメリットもあります。その他にも、遮熱塗料にはさまざまなデメリットがあるので、使用する際には注意しましょう。本項目では、遮熱塗料のデメリットについて具体的に紹介します。
- 耐用年数が短い塗料の場合、塗り直しが必要になる
- 遮熱効果が低い
- 職人の技術力が求められる
耐用年数が短い塗料の場合、塗り直しが必要になる
遮熱塗料の耐用年数は、一般的なシリコン塗料とほぼ同等であり、おおよそ8年~12年のものが多いです。ただし塗料の中には、耐用年数が6年といったアクリル系の種類もあります。耐用年数が短い塗料を使用した場合、短い期間で塗り直しを行う必要があるので注意しましょう。
遮熱塗料は、一般的に耐用年数が高いものほど費用がかかります。耐用年数の長い塗料を選ぶ時は、予算も考慮した上で選ぶことをおすすめします。
遮熱効果が低い
遮熱塗料は、輻射熱の反射率が60~80%前後といわれており、単体では遮熱効果が低い傾向にあるようです。主に遮熱塗料の遮熱効果が低い原因には、次のような理由が考えられます。
- 表面が汚れている
- 性能の低い塗料を使用している
遮熱塗料は、塗膜表面が汚れると熱を反射しづらくなってしまう可能性があります。効果が感じられなくなったら、塗膜部分を洗浄するといいでしょう。その他にも、遮熱性能が低い塗料を使用していると、思うような効果が得られない可能性が高いです。
一般的に、遮熱塗料は高コストで耐用年数が長いものほど、性能がアップします。高い効果を求めているなら、性能の高い塗料を選ぶことも大切です。
職人の技術力が求められる
遮熱塗料は、職人の技術によって効果に違いが起こりやすい遮熱材のひとつです。職人によっては、塗りムラが生じる恐れがあるでしょう。塗りムラが生じた場合、十分な遮熱効果が期待できない可能性が高いです。
特に工場屋根に多い「折板屋根」の場合、形状に凹凸があるため、塗り残しが発生するケースも少なくありません。塗り残しとは、塗装すべき箇所が塗装されていない状態のことです。塗りムラや塗り残しがあると、遮熱効果が十分に発揮されなくなるので注意しましょう。
塗りムラ・塗り残しを防ぐためにも、遮熱塗料を施工するのであれば「技術力の高い職人」に作業を依頼することが大切です。
遮熱シートが、遮熱塗料のデメリットをカバーできる理由
近年では、遮熱塗料が抱える課題をクリアするために、遮熱シートを建物へ施工する方も増えています。遮熱シートとは、輻射熱を反射させる作用をもつ金属製アルミシートのことです。
遮熱塗料のデメリットを解決する作用があるので、「遮熱塗料よりも、高い効果を期待したい」という方にもおすすめです。ここでは、遮熱シートが遮熱塗料のデメリットをカバーできる理由について詳しく解説します。
- 輻射熱の反射率が高い
- 職人による塗りムラを防げる
輻射熱の反射率が高い
遮熱塗料の反射率は、一般的に60~80%前後であるのに対し、遮熱シートの反射率は94〜99%程度と言われています。遮熱塗料に比べて、熱の反射率に優れた遮熱シートはより高い遮熱効果を実感できると言えるでしょう。
遮熱シートは、アルミの純度が高いほど遮熱効果が高くなります。弊社の商品「サーモバリア」は、アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用しているので、高い遮熱効果が期待できます。
職人による塗りムラを防げる
遮熱塗装の施工には、熟練の技術が必要です。作業者の技量によっては、塗りムラ・塗り残しが発生する可能性があります。塗りムラは、作業時の寒暖差による液だれなどの発生によって起こることも考えられます。
遮熱シートは、屋根や壁の表面へ貼り付けるだけで施工できるので、天気や作業員の技術に左右されず、均一な効果を発揮します。
折板屋根へ遮熱シートを施工するなら「スカイ工法」がおすすめ
弊社では、遮熱塗装の課題を解決した新工法として「スカイ工法」を採用しています。スカイ工法とは、輻射熱の反射に優れた遮熱材「サーモバリア」を取り付ける特許工法のことです。
「スカイ工法」であれば、シートを屋根へ直接取り付ける工法となるので、作業者の技量の優劣、作業時の天候に左右されません。スカイ工法は折板屋根特有の雨漏りを防ぐ効果も期待できるため、一度の施工で熱対策・雨漏り対策が可能です。
関連記事:遮熱塗料の効果がないってほんと?効果がわかりにくい原因と塗料に代わるおすすめの遮熱材を紹介
まとめ
遮熱塗料には「室温を一定に保ち、快適に過ごせるようになる」といったメリットもありますが、デメリットも少なからずあるので注意しましょう。施工してから後悔しないためにも、事前にメリット・デメリットを把握しておくことをおすすめします。
遮熱塗料のメリット・デメリットは、それぞれ以下のとおりです。
メリット
- 室内温度を快適に保てる
- 熱による建物の劣化を防ぐ
- 省エネ効果が見込める
デメリット
- 耐用年数が短い塗料の場合、塗り直しが必要になる
- 遮熱効果が低い
- 職人の技術力が求められる
遮熱塗料は種類によって耐用年数・効果に違いがあるので、目的や用途に合わせて適したものを選びましょう。遮熱効果が十分に感じられない場合は、遮熱効果の高い遮熱シートを施工する方法もひとつの手段です。遮熱塗料・遮熱シートを建物の屋根・壁へ施工して、夏の暑さや省エネなどに役立てていきましょう。
編集部
自宅や工場の熱問題に取り組む、株式会社ライフテックの編集部が執筆・監修を行いました。
当社は、断熱材だけでは防げない輻射熱を97%カットすることができる遮熱材「サーモバリア」を販売しております。サーモバリアは、住宅や工場などの屋根や壁に使用することで、夏の太陽の輻射熱による建物の温度上昇を抑え、体感温度を下げることができる、自宅や工場の熱問題の解消につながる製品です。
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