工場の作業効率改善には「室温」が重要?室温管理が必要な理由と、遮熱材が室温に与える影響について。
工場内が熱いまたは寒い環境の場合、従業員の作業効率が低下する恐れがあります。
その理由は、工場内の温度が適正ではない場合、「従業員の体調が悪くなる」「モチベーション・集中力の低下」などを招く恐れがあるからです。従業員の作業効率・工場の生産性を保つためにも「工場の室温管理」は重要と言えるでしょう。
なお工場で取り扱っている機器、商品によっては温度・湿度に影響されやすいものも少なくありません。工場の温度管理をする際には、従業員の健康管理、取り扱う機器・商品の品質保持を踏まえた上で、適切な温度・湿度の管理を行うことが大切です。本記事では、工場の「作業効率」には温度管理が必要な理由と、具体的な温度管理対策について紹介します。
目次
工場の作業効率に「温度管理」が必要な理由
工場内の温度が暑すぎる、または寒すぎる場合、従業員の体調不良や、モチベーション・集中力低下を招く可能性があります。さらに室温管理が行われていない状態だと、工場で取り扱う機器・商品に悪影響を及ぼす恐れがあるので注意が必要です。
本項目では、工場の作業効率に「温度管理」が欠かせない理由について、詳しく解説します。
- 従業員の体調不良・モチベーション・集中力の低下を招く恐れがある
- 機器や取り扱う商品によっては、温湿度に影響される
従業員の体調不良・モチベーション・集中力の低下を招く恐れがある
工場内の現場が過酷な環境下(暑熱、寒冷、多湿など)である場合、そこで労働者が長時間働き続けると、「体調不良」などを招くリスクが起こることが懸念されます。
さらに労働環境が適切な温度・湿度ではないままだと、従業員が快適に作業できなくなり「仕事へのモチベーション・集中力」を維持することが難しくなります。工場で働く労働者の健康維持・モチベーションや集中力を保つためにも、作業場の温度、湿度を適切に管理する必要があると言えるでしょう。
機器や取り扱う商品によっては、温湿度に影響される
工場内にある機械、または取り扱う商品によっては、室内の温湿度に影響される恐れがあります。室内の温度・湿度が適切に保てられていない場合、機械の「工場稼働率」が低下する、または取扱商品に不備が起こる可能性があるので注意しましょう。
とくに工場内で機械部品などの「機器」を取り扱っている場合、機器から発せられる「熱」の影響で部品の膨張、変形を招く恐れがあります。電子機器、精密機械であれば、工場内の湿度が40%を超えると静電気が発生し、電子回路が破損するなどのトラブルが発生する可能性も……。
精密機器工場の適切な湿度帯は40〜50%です。 50%以上の多湿下では、精密機器が腐食・サビやすくなります。 逆に湿度が40%以下になると、静電気が発生しやすく、電子回路の故障につながる恐れがあります。
電子機器工場、精密機器を取り扱う工場であれば、温度のみならず「湿度」にも気を使いましょう。工場の温度・湿度管理が必要な理由については「工場の温度管理はなぜ必要?工場の温度管理のポイント、対処法をご紹介」でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。
工場の温度は「労働安全衛生法の規定(※18~28度)に合わせることが大切
工場の温度は、労働安全衛生法で定めた温度に合わせることが大切です。厚生労働省では、現場で働く作業員の健康を守るために、「労働安全衛生法(事務所衛生基準規則)」において「室温を18~28度以下にすること」と定めています。
(画像引用:事務所衛生基準規則の一部を改正する省令案概要(厚生労働省))
事業者が空気調和設備を設けている場合の、室の気温の努力目標値について、18度以上28度以下とすること。
さらに「労働安全衛生規則」の六百七条では「半年に1回」を目安として温度、湿度の定期的な測定を義務付けています。工場内の温度管理をする時には、「事務所衛生基準規則」で定められた規定を基準として、温度設定を行いましょう。
参考記事:労働安全衛生規則 第三編 第五章 温度及び湿度(第六百六条-第六百十二条)(安全衛生情報センター)
参考記事:事務所衛生基準規則の一部を改正する省令案概要(厚生労働省)
室温と業務効率の関連性について「数値」で示した研究結果がある
職場の室温が暑い、または寒いことが原因で「業務に集中できない」という経験をされた方は多いのではないでしょうか?室温と従業員の「業務効率」については、実際に「数値」で示した研究があります。ここでは、それぞれの研究・結果からわかることについて紹介しました。
- アメリカのコーネル大学による研究「室温における、タイピングミス・文字数の研究」
- 日本建学会の研究
アメリカのコーネル大学による研究「室温における、タイピングミス・文字数の研究」
2005年にアメリカのコーネル大学で実施された「室温における、タイピングミス・文字数の研究」によると、室温を20度~25度に上げたところ「パソコンのタイピングミスが44%減少、タイピング文字数は150%増加した」という結果がでたそうです(※1)。
この研究結果により、作業現場の室温を整えることが「従業員の集中力」「作業効率の向上」に繋がることが理解できます。
(※1)Susan S.Lang: Study links warm offices to fewer typing errors and higher productivity. CORNELL CHRONICLE. 2004 Oct 19.
日本建学会の研究「室温における、従業員の作業効率」
日本建築学会で実施された「室温における、従業員の作業効率」の研究によると、「室温を、25度から1度上げるごとに作業効率が2%低下」したとの結果が出ています。(※2)この研究結果から、作業場が暑くなるほど「従業員の作業効率が下がる」ことが考えられると言えるでしょう。
(※2)多和田友美、伊香賀俊治ほか「オフィスの温熱環境が作業効率及び電力消費量に与える総合的な影響」(日本建築学会環境系論文集 2010年 75巻 648号 p.213-219)
参考記事:寒すぎるオフィスは社員の業務効率を下げる…多くの研究が示す"最適な温度"ウォームビズの不都合な真実(プレジデントオンライン)
工場を「適温」に保つ対策
屋根が高く、面積の広い「工場」は、建物の構造上「冷房・暖房器具(エアコンなど)」をつけても、室内が思うように涼しく、または温かくならない可能性があります。
工場の温度を適温(作業員が仕事しやすい温度)にするには、「工場に適した対策」を取る必要があります。本項目では、工場の作業効率を保つための対策として、工場内の温度を「適温(※18~28度)」に保つ対策について紹介しました。
- シーリングファンを天井に設置する
- ビニールカーテンで空間を区切る
- 機器に遮熱シートを施工する
- 工場の屋根・壁に遮熱シートを施工する
シーリングファンを天井に設置する
空気には、温度が高いと上へ、低いと下に行く性質があります。天井が高い「工場」の場合、冬はエアコンをつけても暖気が上に上がってしまうため、従業員が体や、足元の冷えを感じやすくなります。従業員の健康を守るためにも、部屋全体に空気を循環させる対策が必要と言えるでしょう。
工場内の空気循環には、天井にシーリングファンを設置する方法がおすすめです。シーリングファンとは、天井に取り付ける大型扇風機のこと。大きな羽根がゆっくりと回転することで、室内の空気循環を促し、足元の冷えも感じにくくなります。
ビニールカーテンで空間を区切る
面積が広い「工場」の場合、エアコンをつけても思うような効果が得られない可能性があります。エアコンの空調効率を高めるには、工場内の空間に「ビニールカーテン」を設置する方法がおすすめ。ビニールカーテンとは、軟質塩化ビニール(PVC)で作られたカーテンのことです。ビニールカーテンは、主に以下のような用途で使われます。
- 空間を区切る
- 日差しや雨風、静電気を防ぐ
工場でビニールカーテンを使う場合は、主に「空間を区切る(※作業や製品分類ごとに、空間を区分けするため)」時に使用されることが多いです。工場内を「ビニールカーテン」で区切ることで、エアコンの空調効率がアップして快適な室温を保てるようになります。
機器に遮熱シートを施工する
工場に機器が多い場合、取り扱う商品によっては機械から発せられる熱の影響で「膨張、変形、腐敗」などのトラブルを招く恐れがあります。機械から受ける「熱トラブル」が起こると、作業効率・生産性が低下する可能性が高くなるので、注意しましょう。
機械からの「熱トラブル」対策には、直接「遮熱シート(※輻射熱を反射するシートのこと)」を包みこむ「フィット工法」が有効です。フィット工法とは、機器を遮熱シートで包み込む工法のこと。
フィット工法では、遮熱シートをテント状に縫製して機器を囲み込み、屋外へ熱を放出します。機器にフィット工法を施工することで、機器から発せられる熱を抑え、室内の温度を適切に保ちます。さらに、機器による「熱トラブル」を防ぎ、商品の品質保持にも役立ちます。
関連記事:フィット工法
工場の屋根・壁に遮熱シートを施工する
工場の屋根・壁に遮熱シートを施工することで、年中快適な労働環境を構築することが可能です。輻射熱とは、日射や電気ストーブによる「輻射熱」を反射する金属製アルミシートのこと。
遮熱シートを工場建物に施工することで、夏は日射による輻射熱が室内に入るのを抑え、温度上昇を防ぎます。さらに冬は、室内の熱が外に逃げるのを防ぐ働きがあるため、寒さ対策にも効果的と言えるでしょう。
遮熱シートを工場の屋根・壁に施工することで、夏・冬も快適に過ごせるようになり、従業員の体調不良・モチベーションの低下を防ぎます。
工場の温度管理対策として「設備投資」を行うと、補助金が貰える可能性も
工場の暑さ・寒さ対策を目的として「設備投資」などを行った場合、条件によっては補助金がもらえる可能性があります。補助金とは、各地方自治体が独自に実施している制度のこと。
補助金を受けられる条件に適合すれば、補助金がもらえる制度があります。補助金は県、自治体によって補助金制度の有無、条件が異なるため、工場の暑さ・寒さ対策を行う際には募集条件、期間などをチェックしておくと良いでしょう。
補助金については「工場の暑さ対策で使える補助金を知っておこう。補助金を使った成功事例もご紹介」で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
工場が適正温度ではない場合、従業員の体調不良、モチベーション低下などを招き、作業効率が落ちてしまう恐れがあります。その他にも、工場内の温度が熱い・寒い状態だと、工場内で取り扱う機器、商品にトラブルが起こり、生産性が下がる可能性があるので注意しましょう。
工場の作業効率・生産性を維持するためにも、室内の温度管理を行うことが大切です。工場の温度管理におすすめの方法は、以下の通りとなります。
- シーリングファンを天井に設置する
- ビニールカーテンで空間を区切る
- 機器に遮熱シートを施工する
- 工場の屋根・壁に遮熱シートを施工する
工場の温度管理には「シーリングファン」、「ビニールカーテン」の設置も有効ですが、工場が広い・大きい場合は十分な効果が期待できない可能性があります。さらに熱を発生する「機械」が工場にある場合は、機械の「熱対策」も欠かせません。
広範囲の暑さ・寒さ対策をしたい、または機械の熱対策を検討している方は、「遮熱シート」の施工がおすすめです。遮熱シートを工場屋根・壁に施工すれば、より広範囲の暑さ・寒さ対策が可能となります。さらに機械の熱対策を行うことで、機器から発せられる熱を屋外へ放出し、年中快適に作業できるようになります。また、機器から発せられる熱を防ぐ働きにより、機械の故障・不良品の発生を抑える効果も期待できますよ。
上述で紹介した対策を行って「工場内の温度」を適切に保ち、作業効率の維持に努めましょう。
編集部
自宅や工場の熱問題に取り組む、株式会社ライフテックの編集部が執筆・監修を行いました。
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