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脱水症状でも労災認定は受けられる?労災認定を受けられるケースと、工場内での脱水症状を防ぐ対策を紹介

暑さ対策
脱水症状でも労災認定は受けられる?労災認定を受けられるケースと、工場内での脱水症状を防ぐ対策を紹介

夏の暑い時期は、体内の水分が奪われ「脱水症状」を起こす人もしばしば。「脱水症状」とは、暑さによる体内の水分が足りなくなる状態のこと。 体内の水分が減少すると、口の渇き、体のだるさ、立ちくらみなどを感じることがあります。

暑がり従業員が暑さで「脱水症状」を起こした場合、労災(※業務中に傷病した際に、補償を受けられる労働災害保険のこと)の対象となる可能性あり。ただ、従業員に「脱水症状」がみられたことで労災を申請する場合、条件によっては労災が認められないケースも……。労災を申請する際には「労災認定を受けられる条件」を、きちんと理解しておくことが大切です。

なお企業側の過失などが原因で「脱水症状」を発症した場合、治療費、休業損害費用などを従業員に支払う義務が生じる恐れも。(※詳しくは、後述にて詳しく記載)従業員が脱水症状を起こさないためにも、企業は「従業員が快適に作業しやすい」環境づくりをしていく必要があると言えるでしょう。

とくに工場、倉庫のように日射の影響を受けやすい環境下では、室内に熱がこもりやすく、従業員が熱中症や脱水症状を起こす可能性大。令和5年5月に「熱中症対策行動計画」が閣議決定されたこともあり、今後は従業員の健康を守るためにも、工場・倉庫の場合は、より一層十分な「暑さ対策」を行う必要があると言えるでしょう。

本記事では「脱水症状」とはどのような症状なのかについて紹介した上で、脱水症状で労災認定を受けられるケース、申請方法を紹介。さらに、従業員が脱水症状を起こさないためにも「工場・倉庫で対策可能な暑さ対策」についても詳しく解説していきます。

脱水症状とは?

脱水症状とは、体内から水分が失われることにより、体に何らかの障害が生じる状態のこと。脱水症の症状は、主に以下のとおり。

  • めまい、立ち眩み
  • 吐き気
  • 口の渇き
  • 全身脱力感、体のだるさ
  • 手足の震え
  • 呼吸困難

夏は気温の上昇により、体内の水分が蒸発し、「脱水症状」を招く恐れがあります。そもそも人体の60%は水分が占めており、人体になくてはならない存在。体内の水分が失われると、体の機能が上手く機能しなくなり、脱水症状を招いてしまう恐れも……。「脱水症状」を防ぐためにも、体内の水分を失わないよう、こまめに水分補給することが大切です。

脱水症状は労災になる?

夏の暑い時期は、体内の水分が奪われ「脱水症状」が見られる人も少なくありません。脱水症状で「労災」を受ける場合、認定基準を満たしているかどうかを確認しておくことが大切。まずは「労災」の意味を踏まえた上で、脱水症状で労災が受けられるケース、受けられないケースについて詳しく紹介します。

  • 労災とは?
  • 脱水症状でも、労災認定を受けることは可能?
  • 通勤中に「脱水症状」が起きた場合も、労災になる?
  • 脱水症状で、労災が認められないケース

労災とは?

労災とは、労働災害のこと。ただ、一般的に「労災」とは、業務中に傷病した時に受けられる労働災害保険制度のことを意味することが多いです。

労働災害保険とは、労働者が業務、または通勤中に傷病した時に、保険給付を受けられる制度のことを意味します。「脱水症状」が労災と認定されれば、労災保険より「治療費」が全額支給される可能性も。

また、脱水症状を発症して、体を休めるために会社を休んだ場合でも、給料の約8割が支給されます。企業に従業する労働者は、業務(または通勤)中に負傷、疾病した時に、労働基準監督署長宛(または病院)に労災保険給付の請求をすることで、給付金を受けられる可能性あり。ただし「労災」は、条件によっては「労災認定」を受けられないケースも……。詳しい解説については、後述にて詳しく説明しましょう。

関連記事:労働災害が発生したとき(厚生労働省)

脱水症状でも、労災を受けることは可能?

従業員が勤務中に、脱水症状を起こした場合「労災」を受けられる可能性があります。ただ、労災が受けられるかどうかは、脱水症状が「業務上疾病」となるかどうかが認定の分かれ道となるでしょう。

業務上疾病の範囲については、厚生労働省による労働基準法「施行規則第 35 条別表1の2」 にて詳しく記載あり。労働基準法によると、「暑熱な場所における業務による熱中症」が起きた場合であれば「業務上疾病」となることが記載されています。熱中症とは、暑さにより体内の水分、塩分等のバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなる状態のこと。

熱中症になると体の機能に障害が生じ、脱水症状、めまい、吐き気などの症状を起こすことも……。脱水症状で「労災」を受ける場合は、業務中に熱中症を発症し「脱水症状」を起こした時となります。ただし、脱水症状を起こした時に「労災」を申請する場合、条件によっては労災が認められないケースもあるので注意が必要。

公益財団法人 労災保険情報センター」の資料内では、従業員が「労災」認定となる条件について詳しく記載されているので、気になる方はぜひご確認を!「労災」認定となる条件については、主に以下のとおり。

【一般的認定要件】

  • 業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
  • 当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
  • 業務に起因しない他の原因により発病(又は増悪)したものでないこと

【医学的診断要件】

  • 一般症状の視診(けいれん、意識障害等)及び体温の測定
  • 作業条件及び温湿度条件等の把握
  • 作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断

上記の条件を満たした時は「業務上疾病」と認定され、脱水症状がみられた時も労災を受けることができます。

通勤中に「脱水症状」が起きた場合も、労災になる?

通勤中に脱水症状を発症した時も、「労災」と認められる可能性があります。厚生労働省では、通勤中に労働者が負傷、疾病、障害又は死亡した時のことを「通勤災害」とし「労災」の対象としています。ただし移動の経路を逸脱、または移動を中断した場合は「通勤」として認められないので、注意が必要。

詳しくは厚生労働省の「通勤災害について」「労働災害補償保健法 第7条」にて記載されているので、ぜひご確認くださいませ。

脱水症状で、労災が認められないケース

従業員の個別的な要因で「脱水症状」になった場合、労災を受けることができません。労災を受ける時は、業務(または通勤)中に脱水症状を発症、または業務が原因で症状がみられたかどうかが重要となります。主に「認定が認められない」脱水症状のケースは、以下のとおり。

  • 休業中に、脱水症状がみられた
  • 自宅が暑くて、頭のふらつきを感じる

上記のように、業務と関係ない理由で「脱水症状」が起きた場合は認定が認められない可能性が高いと言えるでしょう。

「脱水症状」で労災保険を申請する時の流れを紹介

従業員に「脱水症状」がみられた場合、「労災認定」の基準を満たすことができれば、給付を受けることができます。労災を受ける際には、労働基準監督署(または病院)に申請する必要あり。本項目では、「脱水症状を発症し、労災申請をした」方向けに、労災保険の申請方法について説明します。

  • 医療機関を受診する
  • 労災保険請求に必要な書類を、各機関に提出する

医療機関を受診する

脱水症状を発症した従業員は、医療機関を受診する必要があります。病院で受診する場合、「労災指定」のある医療機関を選択することで、自己負担なしで受診できるケースも。自己負担が不要の病院は、以下のとおり。

  • 労災病院
  • 労災指定医療機関

上記以外の病院を利用する場合は、従業員が治療費を全額建て替えする必要あり。治療費は、後から国に請求することで全額支給されます。

必要書類を、各機関に提出する

医療機関を受診して、「熱中症による脱水症状」などの診断がおりたら、次に労災保険請求に必要な書類を用意します。まずは、厚生労働省から労災保険請求に必要な「請求書」をダウンロードしましょう。

給付請求書の書式は、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」からダウンロード可能。申請に時に必要な書類は、給付の種類(疾病内容など)によって異なります。詳細については、厚生労働省のホームページにて確認してください。書類をダウンロードしたら必要事項を記載し、各機関に提出します。書類の提出先は、受診した医療機関によって異なるので注意しましょう。受診先別の書類提出先は、以下のとおり。

  • 指定医療機関で受診した場合……病院
  • 指定医療機関以外の場合……労働基準監督署

労災申請の手続きは、熱中症になった本人(または家族)でもOK。ただ、一般的には「本人」が申請手続きをするのは大変なので、企業が従業員の代理で申請手続きを進めるケースが多いようです。

会社側の「過失」が原因の場合、「損害賠償」を支払わなければならないケースも

業務中に従業員が熱中症を発症し、脱水症状がみられた場合は基本的に労災の対象となるケースが多いです。 ただし、従業員が熱中症となった原因が会社側にあった場合、「労災」ではなく会社側が損害賠償請求を行うケースも。会社側が「従業員に損害賠償を払う」ケースは、以下のとおり。

  • 職場環境の暑さ対策が十分ではなく、従業員が脱水症状を起こしてしまった
  • 作業環境、設備の管理、衛生状態のチェックが行われていなかった

上記のように、会社側の過失により従業員が脱水症状を起こした場合は、労災保険とは別に「賠償責任請求」をされる可能性があります。損害賠償請求とは、疾病、怪我などの損害を受けた被害者に対し、賠償責任を負うこと。

職場環境の暑さ対策が行われていなかった場合、諸条件により「安全配慮を怠った」と判定され、企業側が従業員に治療費、休業損害費用を支払わなければなりません。企業側の過失による原因と認定されると、従業員の症状(※障害が残るなど)によっては高額な損害賠償を支払う可能性もあるでしょう。

そもそも従業員の健康を守ることは、企業が担う責任のひとつ。 「脱水症状」などの熱中症トラブルを防ぐことで、労働者の健康を守れるだけでなく、会社の信頼を守ることにも繋げることができるでしょう。

脱水症状を防ぐために!工場・倉庫の暑さ対策を紹介

「暑くて、足がふらふらする……。」

作業場が暑さを感じる環境下の場合、従業員が脱水症状を起こす恐れあり。とくに工場・倉庫など窓の少ない構造の場合、室内に熱がこもってしまいがち。室内に熱がこもると室温上昇の原因となり、従業員が脱水症状になる恐れがあるので注意しましょう。ここでは、従業員が脱水症状にならないための「工場・倉庫の暑さ対策」について、具体的に紹介します。

  • スポット空調を設置する
  • 遮熱シートを屋根に施工する
  • 遮熱シートを機器に取り付ける

スポット空調を設置する

冷却機室内が暑くなると、従業員の体内から水分が奪われ、脱水症状を起こしてしまう可能性大。従業員の健康を守るためにも、企業側は作業場に「室内が涼しくなる対策」を取る必要があると言えるでしょう。そこでおすすめなのが、スポット空調(※スポットクーラー)の設置です。

スポット空調とは、室内の暖気を本体内部で冷却して、冷風を送る空調機器のこと。スポットクーラーを設置することで、室内に涼しい風を送るため、夏の暑い時期も快適に過ごせるようになります。スポットクーラーは電源プラグがあればどこでも設置可能なので、局所的に冷やしたい場合、もしくは導入コストを抑えたい時にもおすすめ。

スポット空調には、吹き出し方向を自由に調整できるもの、移動可能なものなど、さまざまな種類があるので目的に合わせて選ぶといいでしょう。

遮熱シートを屋根に施工する

遮熱シートを屋根に施工工場、倉庫は屋根が広く、日射の影響を受けやすいため室温が上昇します。室温が上昇すると、従業員が熱中症、脱水症状を起こす可能性も……。そこで工場、倉庫の暑さ対策におすすめなのが、遮熱シートを屋根に設置する方法。遮熱シートとは、日射、電気ストーブなどから発せられる「輻射熱」を反射する金属製シートのことです。

輻射熱は、遠赤外線によって伝わる熱のことで、人体の体感温度を上げる要因のひとつ。工場・倉庫の屋根に遮熱シートを設置することで、日射による輻射熱を反射し、夏の暑い時期も涼しく過ごせるようになります。

サーモバリア

遮熱シートを機器に取り付ける

乾燥炉、焼成炉など、工場に機器がある場合、そこから輻射熱が発生して室温が上昇する可能性大。室温が上昇すると、従業員の体内から水分が蒸発して「脱水症状」を起こす恐れがあるので、機器から発せられる「輻射熱」対策が必要不可欠。

機器からの輻射熱対策には、機器に直接設置できる「遮熱シート」を施工する方法があります。遮熱シートを機器に取り付けることで、機器から発せられる「輻射熱」を抑えるので、熱中症対策に効果的と言えるでしょう。大きな機械には、遮熱シートを裁縫して機器を囲み込む「フィット工法」がおすすめ。

フィット工法

フィット工法とは、遮熱シートを裁縫してテント状にし、機器をすっぽり囲み込む工法のこと。機器に遮熱シートを設置することで、輻射熱が室内にこもるのを防ぎ、室温上昇を防ぎます。

まとめ

作業場の暑さ対策が十分ではない場合、従業員が脱水症状を起こしてしまうことも……。従業員に脱水症状がみられた時は、条件によっては労災を申請することもできます。

ただ、企業側の過失が原因で「従業員が、脱水症状を起こした」場合(※暑さ対策が十分ではなかった等)、「損害賠償」を従業員に支払わなければならないケースあり。従業員が脱水症状になると、「損害賠償」を支払う責任のみならず、企業の信頼を失うことにも繋がりかねません。

これらのトラブルを防止するには、企業が暑さ対策を十分に行う必要があるといえるでしょう。とくに工場・倉庫は構造上「室温が上昇しやすい」環境のため、従業員が脱水症状を起こす可能性大。従業員の健康を守るためにも、工場・倉庫はより一層「暑さ対策」を徹底する必要があると言えるでしょう。工場・倉庫の暑さ対策に効果的な方法は、主に以下の通り。

(工場・倉庫の暑さ対策)

  • スポット空調を設置する
  • 遮熱シートを屋根に施工する
  • 遮熱シートを機器に取り付ける

作業員が同じ場所で労働する場合は、局所部分を冷却する「スポット空調」がおすすめ。その他には、屋根・機器に遮熱シートを設置して「輻射熱」を反射し、室温上昇を抑える方法も。輻射熱は、人体の奥まで伝わる性質があるので、体感温度を上げる作用があります。

輻射熱対策を徹底することで、夏の暑い時期も快適に作業できるようになり、熱中症・脱水症状を防ぐことができるはず。上記で紹介した方法を実施し、従業員が脱水症状をおこさないための「環境づくり」に繋げていってくださいね。

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ライフテック
編集部

自宅や工場の熱問題に取り組む、株式会社ライフテックの編集部が執筆・監修を行いました。

当社は、断熱材だけでは防げない輻射熱を97%カットすることができる遮熱材「サーモバリア」を販売しております。サーモバリアは、住宅や工場などの屋根や壁に使用することで、夏の太陽の輻射熱による建物の温度上昇を抑え、体感温度を下げることができる、自宅や工場の熱問題の解消につながる製品です。

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